わが町青梅
高水山常福院
由緒ある常福院本堂 高水山(標高759m)を登って行くと頂上付近に木々に囲まれた趣のあるお寺があります。それが常福院不動堂です。

ここへ上るには3つのルートがあります。 先ずは、表参道というルートで成木7丁目の「上成木バス停」付近から細い山道が延びています。 これが常福院不動堂の表玄関に当たるルートです。そして、余り知られていませんが、この表参道の始点にもう一つの常福院があります。 ここが常福院の本家です。ここに住職さんが住まわれています。 そして、高水山の山頂にあるのが常福院不動堂という訳です。

この成木地区は青梅市の北部に当たり、埼玉県の名栗村と隣接しています。 民家の間を成木川の清流が流れており、とても静かで雰囲気のよい所です。 この川の上流には白糸の滝や枡ヶ滝などの見どころもあります。また、ヤマメや鮎の渓流釣りを楽しむことができます。 KFC一押しの「やまじょう」という民宿もここにあります。

境内につづく山門 第2番目のルートは、裏参道に当たるルートで、JR青梅線「軍畑駅」から高水山山麓にある高源寺を経由して上るルートです。 JRの駅から上れるという便利さからこのルートで上る人が一番多いようです。

そして、第3番目のルートは、大泉院のある白岩地区(成木8丁目)から急勾配の細い山道を経て、「なちゃぎり林道」に合流し、 常福院不動堂に至るルートです。このルートは「青梅高水山トレイルラン」で使用している道で、 3つのルートの中で最も勾配がキツいルートです。 この白岩地区は隠れたサクラの名所で、春ともなれば、この辺りの至る所でサクラが咲き乱れます。ぜひ、訪れて見て下さい。

これら高水山常福院に繋がる3つのルートはとても楽しいハイキングコースでもあります。ぜひ、トライして下さい。

山歩きの好きな人は、高水山から岩茸石山(標高793m)を通り、 惣岳山を経て、R青梅線「御岳駅」までハイキングすることができます。 さらに、岩茸石山から黒山(標高842m)を経由して棒ノ折山(棒ノ嶺とも云う。標高969m)へ行くこともできます。 棒ノ折山からは名栗湖を見下ろすことができます。

成木7丁目からの表参道の様子 高水山山頂の常福院不動堂の正面には剣の刃を形採った木製の大きな剣が祀ってあります。 それもその筈、この不動堂の本尊は浪を切る不動の姿から「浪切白不動」と云われています。

1203年に、不動堂はそれまでのものから今の形をした不動堂に再建されましたが、再三の山火事のため炎上してしまいました。 現在の不動堂は1822年に再建てられたものです。

また、不動堂の正面に賽銭箱とロウソクが置いてあります。その横にいろんな種類のお守りがあります。 布で包まれた一般的なお守りの他に、真っ赤な般若のお面のキーホルダーのお守り、 米粒ほどの大きさのコケシが二つ繋がっている可愛いお守り等々です。中でも、般若のキーホルダーは人気があります。 お参りの記念に一つどうですか?因みに、これは外人に喜ばれますので、マリアナの島に行く時はお土産に持って行きます。

また、不動堂の横に建っている建物(これを庫裏と云う)も木造造りでとても趣があります。 なんでも宿泊することも出来るそうなので、興味のある方は住職さんにご相談下さい。

不動堂の左手の鐘撞き場をさらに登っていくと、東屋があって展望台になっています。 その辺りにはカタクリの花(4月中頃)が一面に咲く斜面もあります。そして、その上が高水山山頂です。 ここから岩茸石山へ続くハイキングコースがあります。

高水山山頂の様子 4月の2週目の日曜日には恒例の獅子舞があります。普段は静かな境内もこの日ばかりはたくさんの観客で盛り上がります。 そして、この頃は境内の紫ツツジも満開で見ごろになります。

常福院の獅子舞は伝統を重んじた古式ゆかしい獅子舞として、高水山古式獅子舞と呼ばれています。 この祭りの最後に披露される本物の刃の付いた日本刀を振り回して舞う舞は迫力満点です。 NHKの「芸能百選」という古典芸能の番組に出たことがあるくらいです。

かつて武蔵国と呼ばれた東京、埼玉、神奈川北部にはたくさんの獅子舞があり、 その中で、高水山常福院の獅子舞は、奥多摩町大丹波(おおたば)および飯能市下名栗(しもなぐり)の獅子舞と 系統を同じくする三匹獅子舞であるといわれています。
この三カ所の獅子舞は奥多摩町大丹波を起点としてリレー式に伝承され、深い関係にあることが地元の人達に認識されており、 現地に伝わる古文書からも明らかにされています。

獅子舞の様子、真剣を持って舞う舞は迫力がある このように高水山常福院には十分に誇れる価値があるのに、何故か観光化されていません。訪れる人も疎らです。 そこがまた山好きの人たちにとって魅力的なのかもしれません。ここに来ると、自然に包まれ、 ひっそりとして、何となく心が清められるような気がするのは我々だけでしょうか?

以前(1994年6月)に、山歩き好きの皇太子殿下と雅子妃殿下がこの常福院不動堂を訪れられたというのも頷けます。

4月の第1週目の日曜日に「青梅高水山トレイルラン」大会が 開催されます。その30km部の折返し地点がこの常福院不動堂の正面です。 JR青梅駅近くの永山公園から名郷峠、辛垣城跡、榎峠、白岩集落、なちゃぎり林道を抜け、 表参道を駆け上がって不動堂にやってくるのです。 なんと、トップの人は永山公園から急勾配の山道を一時間くらいでこの境内へ辿り着きます。 15kmもあるのに・・・、すごいでしょう!!

【アクセス】JR青梅線「軍畑」駅よりハイキングコースあり。
また、成木7丁目の方からは表参道入口から登ることができます。