イベント報告
第4回東京ヒルクライムHINOHARAステージ
4th TOKYO HILLCLIB HINOHARA Stage
2014年10月5日
■KFC徒然

雨天の中、東京都檜原村で、上記大会が開催されました。そして、終わってみれば、雨を感じさせないくらいの選手の気迫と、 地元檜原村村民の熱い応援が印象的な大会となりました。

【台風接近中】

大会前日から台風18号が関東に接近しつつあると云う情報はありました。

しかし、レース開始時点には沖縄付近にあるだろうと云う 予想でした。 だから、それほど影響はないであろう、或いは、上手くいけば、レース終了後に影響が出始めるのかも知れないと 予想していました。こういう時は神経を使います。

そして、大会当日、午前4時過ぎに檜原村役場に着きました。その時点で、ぽつぽつと小さな雨が降り始めました。風はありません。 5時の受付に合せ、参加者が集まり始めました。今年から、従来の前日受付に加え、スタート会場の下元郷駐車場で当日受付も行いました。

4時半にタイム計測会社ネオシステムとKFC組の市川さんが、小雨の中、ゴール地点の風張峠に出発していきました。そして、 5時過ぎに、 市川さんから風張峠の状況が入りました。「小雨、気温11度、霧の影響なし」という報告でした。

5時半頃からスタート会場へ選手がどんどん集まり始めました。先ほどより雨粒は大きくなってきました。ゴール地点の状況が気に なって きました。天候に左右されるのは、屋外スポーツの宿命です。

6時頃、会場にいる輪千さんに、ゴール地点担当の輪千組スタッフに無線連絡を取ってもらい、最新状況を知らせて欲しいと伝えました。 ゴール地点は携帯電話が通じないのです。

輪千組スタッフはコース上の5カ所(各関門とゴール)に無線を携帯して張り付いています。 それに輪千さんと大西も無線機を携帯し、 リアルタイムに情報を共有することにしていました。

【決断】

風張峠からの情報で、もし、「気温が9度以下、大粒の雨、濃霧で視界が効かない」となれば、急きょ、ゴール地点を表彰式会場の 数馬の湯まで下げねばならないと考えていました。

しかし、連絡の内容は「小雨、気温11度、視界OK」と云うことで、5時頃と変わらず、 でした。これで、 迷いはなくなり、予定通りやると決めました。

加えて、雨天の中、それも夜明け前の早朝という悪条件にもめげずにやって来る自転車乗りは心身ともにタフで、逞しく、それなりの 経験と実力のある自転車乗りばかりです。彼らにとって、風さえなければ、これ以上気温が下がらなければ、 この程度の雨は問題なしです。

これらのことは過去の経験からよく分かっていましたので、運営サイドが しっかりやれば、事故なく、計画通り上手くいくと 確信していました。因みに、参加申込者の約4割は会場に現れませんでした。

その運営サイドは、坂本村長をトップに、現場は教育委員会が中心となり、役場職員、消防団、病院、村民等々、檜原村の総力を挙げて 取り組んでいますので、死角なし、心配なしです。さらに頼りになる輪千レーシンブチームと東京ベントスもサポートに入っています。

【坂本村長の心意気】

06:15、坂本村長のスピーチ、大西の競技説明、それに続き、6:30オンタイムに第1ウェーブの100人がスタートしました。2分間で、 第2、 第3、第4ウェーブと続きます。

今年もスターターは村長です。大粒の雨に中、台上で、村長は傘もささずにスターターを 務められていました。 雨に打たれ、スタートを待つ選手たちを前に、村長も気持ちを一つにされたのだと思います。

支障なく、時間通りに全選手をスタートさせた後、いつ道路封鎖が解除になってもいいように、原さんと大西はスタート会場付近の カラーコーンを ザックリ片づけました。そして、ゴールの風張峠を目指して、貨物車で出発しました。

最後尾の選手には輪千さんの ワゴンと東京ベントスの 車両が付いています。我々は、コース上に設置した各関門のカラーコーンやバーを回収しがら、 車列の最後尾を進みます。

【順調なレース展開】

各関門とゴール地点担当の輪千組スタッフから、無線を通して、逐一連絡が入って来るので、レース展開は手に取る様にわかります ・・トップ選手、 数馬の湯通過、都民の森通過、続いて、トップゴールしました等々・・トップの乾選手、57分でゴールとの報告。

予想通りのタイムを刻みながら レースは展開していることが確認できます。それにしても、悪天候の中、乾選手の57分台は予想を超えて 速い。今年の乾選手は調子が良さそうだ。

今年のGWに昨年のシリーズチャンピョン後藤晃治選手に試走してもらい、この日のために参考タイムを出してもらっていました。 そのタイムを元に想定した通りのレース展開となっています。落車や事故の報告はありません。後藤選手に感謝。

沿道には、村民の皆さん、消防団の皆さんなど多くの人が出て、応援をしながら脇をしっかり固めています。これなら何が起きても、 即対応できるというものです。

途中、最後尾の2名が表彰式会場の「数馬の湯」近くで自転車を下りました。ギブアップです。彼らの対応をし、先に進みます。 8時頃には下山が始まり、輪千レーシングチームと東京ベントスを先導に対向車線を多くの選手がゆっくり下山してきます。

【野口さんの頑張り】

原さんと大西は、8時半頃、ゴール地点の風張峠に到着しました。すでにほとんどの選手は下山していました。

そこで、 計測会社ネオによる賞状の出来上がりを待っていた教育委員会の野口さんが、「大西さん、上手く行って良かった!」と安堵の握手を 求めてきました。野口さんも、現場責任者として、顔には出さないまでも、雨の中のレースを相当に心配していたのです。 4年前の 第1回大会の立ち上げ時から一緒にやって来た野口さんの気持ちは痛いほどよく分かります。

昨年までは東京国体「スポーツ祭東京2013」自転車ロードレース競技のプレ大会としての位置付けでの開催でした。しかし、今年からは 檜原村独自イベントしての位置づけ開催です。心機一転の開催です。それに、村民の皆さんに総力を挙げて協力してもらっている こともあると思います。

さらに、25qへ距離延長を容認して下さった五日市警察に対しても、絶対に事故は起こしてはならないと云う 大きなプレッシャーが野口さんにあって当然です。 これらの点が、村の大会とイベント屋の大会との大きく違う点です。

このように野口さんには、背負っているモノが多く、それ故、大きなプレッシャーがあり、その分、安堵も 大きかったのだろう と思います。

野口さんが刷り上がったばかりの賞状を持って、表彰式会場へ下って行きました。その後、直ちに、ゴールゲートの解体や カラーコーン等々の回収を行い、レースの跡形を 消し去りました。9時には奥多摩州道路の閉鎖時間が終わり、一般車両が進入して 来るからです。

【絶好調、乾友行選手】

大西は、その場(風張駐車場)で今年度の東京ヒルクライム・シリーズチャンピョンのポイントを計算しました。男子は乾友行選手が20ポイントで 決まりですが、 19ポイントの宿谷英夫選手、18ポイントの折橋孝治選手に僅差です。

女子は、何と、 佐藤幸選手と岩井享子選手が32ポイントで同得点でした。 予備として、チャンピョン・ジャージを1着余分に作っていたので、 助かりました。因みに、佐藤選手は昨年に続き2連覇です。

それにしても、この天候の中、乾選手(竹芝サイクルレーシング)のタイム57:05は驚異的です。シリーズを通して、今年の乾さんは 絶好調と感じました。また、 女子も樫木祥子選手(駒沢大学自転車部)の1:03:54は相当に驚異的タイムです。総合でも22位は立派です。 今後の活躍が楽しみです。

【最後に】

今年は表彰式会場を数馬の湯にしていたので、雨の中の下りで、体温の下がった選手の皆さんに、暖かいお風呂を開放しました。 大好評でした。

紅葉の季節が始まる10月上旬は、本来なら天候に恵まれる日が多く、空気が爽やかで、暑くなく、寒くなく、自転車にとっては 最高の季節のはずでした。ところが・・、これ・・です。人生、こういうことはよくあることです。

それでも、参加して下さった選手の皆さん、本大会で、 雨の中の貴重なレース経験ができたとポジティブに捉えて下さい。

また、我々運営側も貴重な経験をさせてもらいました。 ありがとうございました。

【レポート・フォト】
【Special Thanks】

数馬の湯、檜原村観光協会、東京都森林組合、五日市警察署、東京都建設局西多摩建設事務所、Wachiレーシングチーム、東京ベントス、wiggle

写真提供:小野口健太